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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

『孔雀のブローチの秘密』◯西野真由美

渡邊るり子さんの三冊目、『孔雀のブローチの秘密』のご紹介です。
『友ちゃんと砂糖、そして…』『すずめの木笛』
前二作品同様、北九州郊外を舞台に、子どもの視点から捉えた終戦前後を描きます。
お父さんのお姉さん、満州おばちゃん。
離れで臥せっている大好きな満州おばちゃんの秘密。
教科書にない満州という国を調べるうちに、戦争を、引き揚げという意味を知っていくよし子。
新盆を迎える家の前で、供養に踊る盆踊り。
盆踊りは、夜まで友だちと踊り遊べる絶好のイベントです。
今年は新盆の家がいくつもあるからたくさん踊れる、と喜ぶよし子を、そんなに喜んではいけないと、静かにたしなめる満州おばちゃん。
おばちゃんが亡くなって新盆を迎える時に、かつての自分のように浮き浮きと喜んでいる友だちを前に、怒りを爆発させるよし子。
戦争を、その悲惨さを、そして命あること、死ぬということを、よし子の視点で、丁寧に想いを込めて描かれた作品です。
作者の渡邊るり子さんは、二作目の『すずめの木笛』を病院のベッドで校正なさいました。
この『孔雀のブローチの秘密』は、渡邊るり子さんがもっとも大切にしていた作品でした。
彼女の一周忌を前に、こうして上梓できましたこと、ご遺族とともにほっとしております。
渡邊るり子さん、貴女はこの三作で、子どもの視点から終戦前後を描くことで、平和への真の祈りを、今の子どもたちに伝え遺すことができたのですね。
私たちは、貴女から受け取ったバトンを大切に、次の世代の子どもたちへ渡していきます。
どうぞ安らかに、いつもの笑顔で、見守ってくださいませ。
合掌。
西野真由美

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