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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

念願の復刊『100人で鑑賞する百人一首』◯西野真由美

四十年ほど前に刊行された名著『100人で鑑賞する百人一首』を、この春復刊しました。
学者や評論家、歌人など、当時の第一人者100名が、一人一首を鑑賞した本書は、当時大妻女子大学教授だった、和歌を主とする中古文学研究で著名な武田元治先生の語釈を得ての話題の書でした。
この春改定された各社の中学の教科書に採用され、残り少ない在庫を前に、思い切って重版をと、武田元治先生にご相談したのでした。
元治先生はとても喜んでくださり、重版ではなく、復刊となさった方がよろしいでしょうとご教示くださいました。
現在の百人一首研究の第一人者、吉海直人先生にお言葉を賜り、できたての本書を元治先生にお届けしたのが三月。
翌月にあちらの世界へ旅立たれた元治先生に見届けていただけたことは、今でも私の救いです。
同志社女子大学教授の吉海先生は、本書を手にしたのは
二十歳だったと述懐されておられます。
我が家での百人一首は、お正月の遊びでした。
万葉集と百人一首が大好きな祖父が、いつも読み手です。
旧仮名遣いや聞き慣れない言葉も、お正月のカルタ遊びはそんなもの、と自然に馴染んでいたように思います。
(残念ながら、あらかた忘れてしまいましたが)
百人一首の札を囲んで楽しそうだったのでしょう、愛犬ラッキーがヤキモチを妬いて、札の上に腹ばいになり、笑いとともにお開きになったこともありました。
祖父だけは最後まで読みたかったようで、少々憮然としていたのも、懐かしい思い出です。
カルタ遊びでも坊主めくりでも、百人一首をご家庭で楽しめるといいなぁと思います。
そして、どんな和歌なのだろうと話題になったとき、本書はバイブルのように、きっとお役に立つことでしょう。
西野真由美

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