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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

『15歳の自由帳 光への階段 PTSDの彼方へ』○西野真由美ブログ

『15歳の自由帳 光への階段 PTSDの彼方へ 歩ける日を夢見て』は、宮下自由くんの韻文(詩、短歌、俳句、狂歌、川柳)と、感想文や作文を収載した、自由帳のような作品集です。
自由くんは、ある日突然、歩くことができなくなりました。
試練の時を経て、今再び歩くことができるようになった自由くんの、本書は、その試練の記録でもあります。
障害のぼくに肩貸す友達にありがとう言えばオスと答える 宮下自由
これは、第16回与謝野晶子短歌文学賞 青春の歌に応募し、約2万首の中から最高賞の文部科学大臣賞を受賞した作品です。
「あとがきに代えて」の中から、お父様の宮下洋二さんの言葉の一部を抜粋します。
PTSD特有の症状なのでしょうか、彼は沈鬱な表情で人に会うのがいやだ、病気が少しも良くならないので悲しい、苦しい、死んでしまいたいと言うのでした。
私が「死ぬのはちょっと待て、おまえが死ぬときには淋しくないように、お父さんも一緒に死んでやるから、神様を信じてもう少し頑張ってみよう」と言うと、彼は「ぼくは神様なんて信じないけど、お父さんは信じる」と言って、私に抱きつき泣くのでした。
自由くんの作品をもうひとつ、ご紹介しましょう。
障害のぼくに友の手ハイタッチ次々受けて父と通学 宮下自由
家族と友達、学校の先生方に見守られて、それでも苦しみもがく自由くんの心の軌跡は、PTSDと闘っている人々はもちろん、思春期の急激に成長する心身のアンバランスを抱える子どもたち、そして疲れ切った大人へも「光への階段」へ導く一冊といえましょう。
追記
宮下自由くんは、宮下木花ちゃんの弟です。
木花ちゃんの創作童話の短編集、『ひとしずくのなみだ』は11歳の作品集。
『いちばん大切な願いごと』は、12歳の作品集です。
阿川弘之さん、秋山ちえ子さん、永六輔さん、城山三郎さん、志茂田景樹さん、立松和平さんなど、多くの方々に賛辞をいただき、群馬県文学賞を最年少で受賞しました。
ことに、処女作所収の「ノロボトケ」などは、思い出しても鼻の奥がツーンとなります。
お近くの図書館へリクエストして、ぜひ読んでみてください。
西野真由美

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