skip to Main Content

銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

やなせたかし先生の思い出○西野真由美

やなせたかし先生が旅立たれました。
新聞各紙の一面には、やなせ先生の笑顔がありました。
ジュニアポエムNO.142『生きているってふしぎだな』は、やなせ先生の一本の電話からうまれました。
「入院しちゃってね。ようやく時間ができたので、詩集をまとめようと思うんだよ」
そうして、ジュニアポエムにやなせたかし詩集が加わりました。
東日本大震災後にはじめたホームページでのポエム支援は、手作りバッグや被災者句集『負げねっちゃ』につながるはじめの一歩でした。
ホームページに<元気がでるポエム>をアップしよう!
計画停電中でパソコンも電話も繋がらない時間に、みんなで作品を選びました。
当時の200冊近いジュニアポエムに、次々と付箋が付いていきました。
その中で、やなせたかし詩集『生きているってふしぎだな』は、ダントツの数の付箋が貼られ、たくさんの作品がアップされました。
勇気と元気をくれる作品や、キュンと切なくなる作品。
やなせ先生の作品には、あたたかな眼差しと希望の光があふれているのです。
やなせ先生の作品の力に改めて心打たれている頃に、アンパンマンの歌が避難所に笑顔を運んでくれたというニュースを聞きました。
今思い出しても、嬉しくて目頭がツーンときます。
詩を、歌を、心から愛し、大切にされていたやなせ先生の言葉が思い出されます。
「アンパンマンのテレビアニメ化の話がきた時にね、迷ったんだよ。
テレビアニメになったら、僕の手を離れていくからね。
だから、一つだけ条件をつけたんだ。
アンパンマンで歌われる歌の詞は、必ず僕が書くからって」
アンパンマンの歌には、やなせ先生の世界がギュッと詰まっているのです。
その後、ちいさなカラーの詩の絵本あこがれよ なかよくしようも続けて刊行できました。
収載の「しろくま」には、流氷に乗って流されている白熊の子どもが描かれています。
「これはね、テレビで見たんだよ。
もう何十年も前なんだけどね。
あの子熊はどうしているんだろうってね」
一口坂ギャラリーで開催してくださった銀の鈴社20周年記念展のミニお話会には、音響設備持参で来てくださったやなせ先生。
真っ赤なシャツに黒づくめのスーツで歌うやなせ先生。
めくった上着の裏地には、真っ赤な薔薇が咲き誇っていました。
病室で受け取った原稿の束の中には、かつて中学生の頃に図書室で見つけて暗誦していた詩がありました。
作者名をすっかり忘れていた私には、震えるような再会でした。
勇気と希望をこの世界に贈り続けてくださったやなせ先生、どうもありがとうございました。
私たちは、やなせたかし詩集を通して、先生の想いをこれからも届け続けてまいります。 合掌
西野真由美

Back To Top