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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

柏木隆雄詩集『かんさつ日記』

曲がついて歌われることを想定してつくられた詩集。
それが、柏木隆雄詩集『かんさつ日記』です。
そして本書は、やなせたかし先生はじめ、13人の個性あふれる画家たちによる絵のアンソロジーにもなっていて、まるで小さな展覧会のような詩集です。
色とりどりの金平糖のような前半には、27篇の作品を収載。
子どもの日常を子どもの目線で捉えた詩と、日本の情景を詠った詩が満載です。
ことに「あやめの歌」や「干潟の譜」のような水辺の情景を画いた詩は、もっとも柏木隆雄さんらしい世界といえるでしょう。
そして「赤毛のアン」の世界をミュージカルにした後半。
明るく、ひたむきな向上心を持つ少女アンに、「いつか幸せになれる」希望をのせて抄訳詩にまとめたという柏木隆雄さんの、ロマンが詰まった世界です。
詩は、言葉は、見過ごされ、忘れ去られがちな大切なものを伝えることができます。
そして、その詩に音楽がついて歌えるようになると、その言葉は静かに血肉となって、その人を支えてくれるようになります。
少し難しい言葉も、歌として身体に染みついてしまえば、言葉の引き出しが増えます。
そうしていつか真の意味に気づいた時、引き出しにしまってあった言葉を、自在にまとうことができるようになるのです。
『かんさつ日記』の作品に曲がついて、たくさんの子どもや大人に歌われますよう、願ってやみません。
追記
タイトル詩に絵を描いてくださったやなせたかし先生は、わずかにみえる左目だけで、この絵を描いてくださいました。
ポエムを愛したやなせたかし先生の強い想いとエールに応えられるよう、これからもポエムの灯火を灯し続けて参ります。
西野真由美

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