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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

思い出の編集日記 2022.6.12

思い出の編集日記
思い出すままに   柴崎俊子

まどみちおさん

30年ほど前、教育出版センターの談話室に訪ねてくださいました。
数人の詩人も一緒だったと思います。そのときお掛けになったソファは、その頃 井上靖さんや石垣リンさん山本和夫さんなど福田正夫、詩の会 炎の会の例会会場に提供していた、社内の談話室 レトリカ です。
L字型に続く赤いソファは詩人たちにも気に入られて、その角に主な人がすわるのが常でした。
まど先生もその場所をご案内し、先生は背もたれにゆったりされました。
私は嬉しくて、
「その場所は先週、井上靖さんが同じように座られました。」
と、お声かけしました。寡黙な先生は、気持ちよさそうに口を開かれました。

ぼくね、考えたんだよ。
このスペース このソファのこの面積 今この時は ぼくの専用として与えられてるんだ。今、来る時も電車に座って
「あゝ この席は 自分が独り占めしてるんだなぁ。地球は広いといえども、このスペースはここしかない。それを独り占め。ありがたいこと 感謝 しかないと。」
先生のお顔は 感謝にあふれた柔らか表情でした。
私は、なにげないおもてなしにこうして、おはなしを膨らませていただいて、さすが!
と、思い出の宝として心に刻まれたのでした。

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