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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

都立両国高校附属中学校での公開授業『子どものための少年詩集2013』

今日8月28日(水)、東京都立両国高等学校附属中学校で、銀の鈴社の『子どもための少年詩集2013』(今秋10月刊行予定)を活用した公開授業が行われました。
月曜日から始まった夏期講習の、この授業としては2時限目の1年3組が対象です。
指導されるのは、国語科教諭の杉本豊先生。
ここでは、本になる前の校正刷り(ゲラ)の段階での詩作品を読んで、心に響いた3作品を選ぶというのが最終目標です。
今回の試みには、両国中学の1年生と2年生、各3クラスの約120名が参加してくれました。
1年生は杉本先生、2年生は大島先生のご指導です。
本当は、1冊分の校正刷りすべてを各自で読んで、そこから好きな3作品を選んでいただきたいのですが、限られた授業時間の中では不可能なこと。
そこで、高校の国語科教諭、高澤昌利先生のご提案で、1冊分約120ページを1学年ずつに振り分け、3分割(3クラスで分割)の40ページずつに分担しての授業となりました。
前の授業で、各自が40作品を読み、自分の好きな、心に響いた3作品を選び、その理由を用意された用紙に記入します。
そして今日の授業では、4人ずつの班に分かれて、班としてのベスト3作品を選ぶというのがメインでした。
4人の中で、進行係、記録係、発表係等の役割を分担し、各自で選んだ3作品について選んだ理由を発表しあいます。
そして、4人が選んだ3作品、計12作品の中から、班としての3作品を相談しながら決めていくのです。
1年生、2年生ともに、班とクラスでの話し合いを経た次の授業で、あらためて自分の好きな心に響いた3作品を、それぞれの作者へのメッセージとしてその理由を書いて、一連の授業が終了となります。
1年3組は、五十音順の少年詩集の真ん中辺りの40ページが担当でした。
子どもたちのワイワイガヤガヤの楽しいこと!
同じ作品が好きだったり、まったく感じなかった作品に惹かれている子の理由に頷いたり。
班ごとの発表後におこなわれた質疑応答も、最初はぎこちないスタートだったのに、だんだんと活発になって、作品世界への分析へと発展して。
中学1年生の感受性と表現力が言葉となって飛び交うイキイキした現場に同席できたことは、胸躍る刺激的な、ゾクゾクする時間でした。
その後、2年1組での大島先生の授業も見学させていただきました。
大島先生のご好意に甘えての突然の見学です。
偶然にも、1年3組と分担した40ページが同じだったのも幸いでした。
2年生は、班ごとに選ぶ作品を1作品に絞り込んでいて、その話し合いが方法も含めてバラエティに富んでおり、選ぶ作品の多様性とともに、面白く拝見しました。
今回のイベントを担当した銀の鈴社の西野大介は、聞こえてくる会話の中から、今の子どもたちのナマな表現を、流行現象とリンクさせながらキャッチして、その絶妙さを私に話してくれました。
私よりもずっと彼らと年齢が近いからこそのキャッチ。
心に響く詩とは? との大島先生の問いかけに、班ごとにまず回答してから絞った1作品を挙げ、その理由を発表した2年1組。
心に響く詩とは・・・共感できること!
そう答えた、あるいは共感という言葉がはいっていた班の、なんと多かったことか。
感性を研ぎすまして、己の世界へ向き合うのも大切だけれど、読者に響く詩を届けるのも大切なこと。
杉本先生が仰った言葉が、それを象徴しています。
「詩は、作者と読者との共同作業」
作品は、作者が生み出すもの。
けれど、作者の手を離れ世にでた作品は、読者の度量や年齢、経験値によって、さらなる命を授かるのです。
8時40分からお昼近くまでの半日ほどの心底楽しい体験でしたが、ずっしりと重いバトンを受け取った一日でもありました。
公開授業には、大学の先生や私学の理事長、新聞記者等もいらしてくださいました。
記事の掲載予定等がわかりましたら、そして記事になりましたなら、また報告させていただきます。
なお、写真を含めた詳細な報告は、10月刊行予定の『子どものための少年詩集2013』(年刊アンソロジー)に挟み込む「銀鈴ポエム通信32号」と、来春発行する銀の鈴社の「本のカタログ」に収載します。
お楽しみに!
西野真由美

井上靖詩集『シリア沙漠の少年』復刊!

井上靖詩集『シリア沙漠の少年』(ジュニアポエムNo.32)が、井上靖文学館様等のご協力で復刊しました。
下記のように企画展も開催中です。
井上靖文学館 開催中の企画展
井上靖への視座「井上靖の詩・視・詞」展 
会期 2013年7月25日(木)~12月10日(火)

本詩集『シリア沙漠の少年』の初版は1985年8月25日。
四半世紀を経ての復刊です。
収載の43編は、次の7章にわけての収録です。
序詩
母とふるさと

青春

戦いの日
季節の詩
初期の行分け詩から、井上靖の詩作品の本流、散文詩まで。
抒情的な美しい作品から、哲学的な深い思索を誘う作品。
どの作品にも詩としてのきらめきがそこここに潜んでいて、その完成度の高さに圧倒されます。
絵は、駒宮録郎先生。
揺るぎない描写力と高度な技法に裏打ちされた絵が、詩の世界をそっと支えます。
ことに、<戦いの日>に収載されている作品「友」の挿画は、ご自身も出征し、北の大地での抑留生活を経験した画伯ならではの祈りのこもった絵には、その詩作品の胸を掻き毟られるような切なさを、静かに寡黙に伝えます。
本詩集の絵をいただきに駒宮先生のご自宅へ伺った日のこと。
白い御髪の大柄な先生が、緊張で固まっている私に注いでくださった柔らかな眼差しは、今でも大切な宝物です。
少年少女から大人まで。
読者の年齢、体験に応じた感銘を感じさせてくれる詩集『シリア沙漠の少年』と井上靖文学館の企画展。
どうぞ、この奥深い世界を味わってくださいますよう。
西野真由美

七夕とかぐや姫◯西野真由美

銀の鈴ギャラリーでは、絵本『もうひと つのかぐや姫』刊行記念展を開催しています。
竹取物語のもうひとつのお話を、美しい色彩のハーモニーで描いた抽象画の絵本です。
著者の西川律子さんは札幌在住。
北海道には、竹取物語に登場するような竹がないという彼女は、かつて京都で歩いた竹林の強烈な印象を軸に、鎌倉山や竹寺(報国寺)でスケッチを重ねて作品を育みました。
そんな西川律子さんと、平塚の七夕まつりへ行ってきました。
煌びやかなの飾りとともに、私たちを真っ先に迎えてくれたのは、なんと竹取物語でした。
七夕まつりは星まつり。
さまざまな願いが込められた色とりどりの短冊。
西川さんと私も、心そそいで書きました。
例年より早い梅雨明けというニュースに、今宵、織姫と彦星の再会と、それぞれの願いを胸に、多くの瞳が夜空を見上げることでしょう。
世界が平和でありますように
みんなが幸せになりますように
西野真由美

川端康成の新資料発見!

川端康成学会の会員で一橋大学院生の石川偉子さんが、川端康成の新資料を発見しました。
昨夕(6月8日)の朝日新聞夕刊で大きな記事になっています
この発見は、まもなく刊行される『川端文学への視界No.28 年報2013』誌上で、詳しく発表されます。
なお、6月22日(土)の川端康成学会の第160回例会では、石川偉子さんによる新資料についての発表もあります。(参加費500円)
鶴見大学にて。
詳細は下記、川端康成学会のホームページをご参照ください。
http://www.kawabata-kinenkai.org/bungakukai/reikai.html
川端康成学会の例会へは、どなたでも参加できます。
入会も随時承っております。
また例会会場では、学会の機関誌年報(『川端文学への視界No.28 年報2013』)も販売しております。
『川端文学への視界No.28 年報2013』(定価2,625円 銀の鈴社刊)は、来週刊行です。
お近くの書店へご予約いただければ、刊行次第に書店さんへお送りします。
小社ホームページでは、来週末から購入できます。
アマゾン等は、それぞれの機関での登録作業が終わり次第にご購入いただけます。
銀の鈴社(銀の鈴ギャラリー奥)でも、直接ご購入いただくことができます。
  ・・・6月13日(木)以降
川端康成学会や機関誌年報(バックナンバーを含む)のお問い合わせなどは、銀の鈴社までお気軽にお問合せくださいませ。
銀の鈴社は、川端康成学会の事務局窓口でもあります。
銀の鈴社:西野真由美

『C58 坂を上る』井上謙作◯西野真由美

『C58 坂を上る』は、作者、井上謙先生の実体験をもとにしたフィクションで、『路傍の石』や『真実一路』を彷彿とさせる小説です。
作品舞台の主な時代は、太平洋戦争の末期。
蒸気機関車の鑵たきを目指す少年が主人公です。
タイトルの「C58 坂を上る」は、「月山」などの作家、森敦先生の命名。
森敦先生は、井上謙先生がご研究されていた横光利一さんのお弟子さんでもありました。
(井上謙先生は横光利一学会の会長で、解釈学会の顧問でもあられました)
謙先生は、この作品を見ていただいた時に、「大学の教師なんぞは辞めて、物書きになれ」と森敦先生から言われたと仰っておられました。
実体験をもとにしたフィクションなだけに、その描写の細やかさに圧倒されます。
蒸気機関車のC58106に寄せる想い。
そこには、かつての学友の夢も重なります。
これは蒸気機関車を愛し、支えた男達、そして少年達の物語なのです。
病床の謙先生から、お話を伺ったのが昨秋。
原稿をいただいたのが一月。
そして、松本忠さんが急ぎ描いてくださったラフスケッチを病室にお届けした時の、本当に嬉しそうな満足気な謙先生の笑顔が、握手が、私にとっての最期になりました。
謙先生はその翌日、2月8日に亡くなったのです。
ご子息の聰先生、そして教え子のみなさまにお助けいただいて、ようやく明日の法要に間に合いました。
疲弊し切った今の日本に、C58のように、坂を上って欲しいんだ、と、ご自身の苦しさをも顧みずに語ってくださった謙先生。
高邁な強い信念の 崇高な美しさを、私は、そして同席した息子の大介は、謙先生から学ばせていただきました。
合掌
西野真由美

平和をねがう「原爆の図」丸木位里・俊夫妻展◯西野真由美

絵による平和運動家、丸木夫妻の伝記『平和をねがう「原爆の図」丸木位里・俊夫妻』(楠木しげお文、くまがいまちこ絵)刊行記念展がはじまりました。
丸木ご夫妻のご遺族や、丸木美術館様のご協力をいただいて、3月11日まで開催します。
若いカップルや熟年夫婦。
山歩きの方やご近所の方。
様々な年齢層の方々が、静かにギャラリーを訪れてくださっています。
愚かな人間が自分たちでつくりだしてしまった真の地獄が、そこにあります。
戦争や災害から、平和な日々を守ることの意味を、改めて考えたい展示です。
楠木しげおさん所蔵の丸木夫妻の写真や、くまがいまちこさんの原画も展示。
会期中は、丸木夫妻の絵はがきや図録なども展示販売しています。
西野真由美

「ラジオ深夜便」3月号発売中◯西野真由美

「ラジオ深夜便」3月号が発売されました。
年末に放送された阿見みどりの「花が好き自然が好き」、おかげさまで巻頭カラーで収載です。
店頭発売は18日から。
阿見宛の掲載誌をみなで眺めていたら、早速問い合わせの電話が…。
「こういう絵を探していたんです、ずっと。
あぁ、本当に生きていてよかった!」
電話口の向こうから、弾んだ声が響いてきました。
「ラジオ深夜便」の定期購読者の方からでした。
12月19日の放送では、万葉集や野の花に寄せる阿見の想いの原点や原風景などを、須磨佳津江さんが巧みなインタビューで引き出してくださいました。
絵を支える背景や来し方など、須磨佳津江さんのリードで、家族や姉妹など周りのみなが驚くほどスムーズに話せていました。
そして誰よりも本人が、一番驚いていたのでした。
けれどもやはりラジオは聴覚で受け止めるもの。
今回の冊子では、巻頭カラーというありがたいご配慮で、阿見の描く野の花たちをいくつか収載してくださいました。
鳥獣戯画に惹かれたのがが原点という阿見の、絵巻物のような巻子(かんす)に描いた万葉野の花や早蕨、スミレなど。
カラーで収載された野の花たちは、百聞は一見に如かず、と、阿見の姿勢「自己主張ではない、野の花のメッセンジャー」を、伝えてくれたのでした。
このブログを書きかけのまま出社した昨日は、夕方から知人のギャラリートークとワインパーティがありました。
急ぎ仕事の片が付かず、結局ギャラリートークには間に合わず、パーティも途中参加だったのですが、そこで件の須磨佳津江さんに再会しました。
須磨さんは満面の笑みでハグしてくださって、嬉しい幸せな再会でしたが、早くブログにアップなさいというお導きのようでもあり、心引き締まる偶然の再会でもありました。
西野真由美

井上謙先生の訃報◯西野真由美

訃  報
横光利一文学会会長で解釈学会顧問でもおられた井上謙先生が、2013年2月8日午後8時頃、ご病気のため、享年84歳にて永眠されました。
通夜および葬儀、告別式は、下記のとおり執り行われます。
ここに、故人のご冥福をお祈りし、謹んでお知らせ申しあげます。

通    夜 2月11日(月)午後5時~
葬儀・告別式 2月12日(火)午前11時30分~
場    所 宗教法人 麻布山善福寺http://www.azabu-san.or.jp/zenpukuji/index.html
       〒106-0046  東京都港区元麻布1-6-21
       電話 03-3451-7402
       最寄り駅 南北線 麻布十番駅 1番出口5分
           大江戸線 麻布十番駅 7番出口10分
以上
ご供花(1基 15,750円)につきましては、
下記へ直接お申し込みくださいませ。
(株)式典コスギ 電話03-5706-3322
         FAX03-5752-4100

「ラジオ深夜便」3月号(2月18日発売)取材報告◯西野真由美

NHKのラジオ深夜便。
須磨佳津江さんから阿見への出演依頼をいただくまで、阿見も私も恥ずかしながら存じませんでした。
打ち合わせにみえた須磨さんが、そのまま録音しちゃいましょう!とトントン進んで。
そんな調子だったので、阿見の放送があった12月19日が、ラジオ深夜便リスナーデビューでもありました。
阿見の放送はおかげさまで好評だったとのことで、2月18日発売の「ラジオ深夜便」3月号の、巻頭カラーでご紹介くださることになりました。
写真は、その取材の様子。

二十代前半くらいに見えた編集さんですが、実年齢は三十代だとか。
流石に手際よく、穏やかで楽しい取材となりました。
侘助を見つけてスケッチする阿見を撮る編集さん。
よく見ると、つむじが二つに見えませんか?
ひとつは、桜の花びらなのです。
侘助をスケッチする前に、彼岸桜を描いていたので、その時にきっとはらはらと着地したのでしょう。
取材地は、鎌倉五山の浄妙寺さん。
入口近くには花塚もあるほど、花好きの奥様が目配りしておられます。
立春は過ぎたけれども、まだまだ冬景色の鎌倉。
それでも、木々の枝先には蕾たちが出番を待って震えています。
ゆっくり歩けば、寒風の中を健気に咲いている花たちにも出会えるでしょう。
小さな春を見つけに、鎌倉へお運びくださいませ。
西野真由美

降りしきる牡丹雪に◯西野真由美

成人式の今日、銀の鈴ギャラリー「冬の贈り物展」は最終日。
冷たい雨から霙にかわった鎌倉駅では、振袖の娘さんを送る車。
デスクワークをしながら初雪を気にしていましたが、10時半頃から降り方が強くなってきました。
電車も止まるかも?と、慌てて店仕舞いをして家路を急いだのですが……。
鎌倉駅へスタッフを送るまでは、まだ道路には積もっていなかったのですが、我が家へ続く坂道に入った途端、白い道に阻まれました。
滑るタイヤと効かないハンドル。
すれ違いがやっとの坂道で、このまま車を放置するわけにはいきません。
とにかく、雪掻きしながら行くしかない、と、道具を取りに家へ走りました。
家にいた母も手伝ってくれて、チリトリとスコップで必死の雪掻き。
10mほど先の知人宅まで何とか進み、そこの御宅へSOS。
「ウチは男手が三人もいるんだから」と、みなさんで助けてくださいました。
結局、車はその御宅の駐車場に停めていただいたのですが、そこに停めるまでも大変でした。
雪掻きしても、すぐにまた降り積もる牡丹雪。
機転の効く若奥様が、バスタオルやキッチンマットをタイヤの進行方向へ敷いてくださって。
ご主人に運転もかわっていただき、ティーンエイジャーの息子さんたちが車を誘導しながら雪をかいてくれます。
とんでもないご迷惑をおかけしてしまいました。
無理に坂道を進まず、平地のコインパーキングに車を停めて、歩いて帰るべきだったと、後の祭りですが深く反省しています。
それにしても、貴重な休日に、雪まみれになりながら助けてくださったみなさまに、ただただ感謝の一日でした。
身体中、湿布だらけの・・・西野真由美でした。

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