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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

つれづれに「ことば」を考える日

「承知しました。」 「ありがとう。」 マルハラスメント(マルハラ)とは、このようなメッセージを見た若者が、文末の句点を「威圧的」「冷たい」などと感じる現象を指す。(Google検索より)

時代を泳ぐことば。

昨日買ったギャラリーの作家湯呑みが包まれていた和紙

謡曲のお稽古帖のような 句読点に近い記号がついている。

俵さんは「句点を打つのも、おばさん構文と聞いて…この一首をそっと置いておきますね~」と前置きした上で、

「優しさにひとつ気がつく ×でなく○で必ず終わる日本語」

とよんだ。

俵さんの一首は唐突によまれたわけではなく、注目の話題と関連していた。(…Google検索より)

ちいさなことでもハラスメントの風潮はここまできてるのか、と感じることば観。感覚が少しずつずれてきているのを感じてしまう。俵万智さんはさすが。この歌でマルハラ族はドキッとめをさましたとか。

気がつくと、私のこんな短文にも句読点がいくつも鎮座している。

       編集室 柴崎俊子記

人生の総仕上げは 本 の姿で

二月の寒空を苦にもされず連日打ち合わせに来社されるSさん。編集長との会話の中で次々アイデアが膨らんで、今日はお姉さまが愛用された着物をご持参。

表紙はこの着物でまとめましょう。姉妹愛あふれる思い出話は尽きることなく、ふたりの間にそれぞれのイメージが寄り添い楽しいアイデアが具現化していきます。

50年ほど前、山の随筆家田辺重治著「わが詩わが歌」をご遺族に頼まれて故人の袴で装丁しました。その後室生朝子さんに頼まれて室生犀星著「美しい歴史」の特装版をつくりました。その時は朝子さんのこだわりの絵柄を求めて加賀友禅の反物探しに金沢のお店までご一緒したことを思い出します。

そして数年前、お母さまのエッセイ「小さな幸せ」をまとめたいと羽織と着物を組み合わせて50冊ほど形にして喜んでいただきました。

亡き人を偲ぶぜいたくなひとつの姿です。面影がぎゅっと詰まって手にとると心温まる不思議な時間が流れます。

本棚からその一冊を机に置いて、こんな方法もありますという編集長のことばに、きっとSさんの頭の中はありし日の故人の姿があれこれ浮かんできたのでしょう。

「私 元気な今のうちに姉の望みを叶えてあげたいの」白髪の優しい目が眼鏡の奥で細く輝きました。

わかりました。ご一緒にチャレンジしましょう。

新たな目的に向かって、スケジュールの段取りに入ります。

銀の鈴社玄関の手水鉢に
裏庭のおち椿が迎えてくれます

           柴崎俊子記

午後から雪の予報

急ぎ百合の元気な緑にビニール袋をかけて

今のうちにと花たちを摘んで

今日のサロンイベント

関東学院学生さんのゼミのための部屋のしつらえ

16人

玄関

玄関の壁

玄関正面

化粧室には蕗のとうの初どりと咲きはじめの菜の花、去年11月の妙本寺展にいただいた花籠の中の凪筏。5月ごろまで生きていたら地植えしてみたい!

次は、仕事部屋にも残った花たちを

春が待ち遠しい!

準備オーケー👌

東京から著者と画家さん 来社

もうすぐ刊行。

ジュニアポエムの新刊

30年前の著者が初めての画家さんをお連れして、第二弾の仕上げの打ち合わせ。

八幡宮のお参りを済ませて来ましたと。

再校を机に広げて楽しくチェック。お話にも花が咲くので、あとはじっくりご自宅で赤字入れを。

キャリア豊富な年輩の著者の話に、敬意の眼差しで耳を傾ける画家さん。

この絵、子供目線で子どもが喜びますねと感じたことをつぶやくと、

この詩を口ずさみながら描いていると小学生の子どもが、花も描いて、リスも… って。

母子の息づかいが伝わるあたたかい本になりそうです。楽しみー。

「絵巻万葉ものがたり」の感想文をネットで発見

万葉集の絵巻と英語と日本語の華麗なハーモニー

Reviewed in Japan on May 9, 2023

綺麗な絵に万葉集の言葉と分かり易い解釈、そして万葉集の英語訳が見事です。万葉集の勉強にも英語の勉強にもなる素晴らしい絵本です。

理想的な詩画集

Reviewed in Japan on January 14, 2023

万葉集の対訳本で絵本というのも大変珍しい。著者の長年の万葉集への愛着が、水彩画と毛筆の書に結晶化され、英訳の協力者の助けも借り、国文学者の監修者のチェックも忘れない、妥協のないチームワークのみごとな果実である。このような本に出会えた幸運を感謝したいと思っている。多くの若い人に読んでもらいたい。

万葉集を楽しむことができるグローバルな絵本

Reviewed in Japan on January 9, 2023

『絵巻 万葉ものがたり』は、画家である阿見みどり氏が制作期間10年をかけて完成した絵本である。水彩画と書による絵巻全四巻(上・下巻の計八軸)には、万葉集の約4500首から選出された100首が収められ、「万葉びとの自然観」「万葉びとの愛」「万葉びとの想い」「万葉びとと草花」をテーマに、それぞれ25首ずつが各巻に収められている。水彩画は、「鳥獣戯画を師と仰ぎ、ほとばしるように動く絵筆に委ねた」という豪華本である。

「大分弁俳句 2」の追い込み

年の瀬はいつもながらあわただしい。

好評だった前著に引き続いて、今最後の仕上げ。あいにく年末にかかり工場は飽和状態です。年賀状やら何やら少し様子が違うのでフィニッシュの段取りも気が抜けません。

一冊の本が生まれるまでにどれほどの人手がかかるのか。原稿にまとまった段階からだけでも出版社サイドの原稿チェック、検討会、本にするまでのプラン、その見積もり、契約、割り付け作業、デザイナー手配、校正者との往復。工場はオペレーターからデザイン処理班、用紙などの取り寄せや機械班の割り振り、工場長の采配でやっと刷了。つぎは製本工場へ。折り部門からはじまりいくつかの工程を経て、全国書店への窓口の取次会社と出版社に納品。その度に運転手さんたちも陰の働き。

スケジュールはそれぞれの機械確保などバトンタッチで組み込まれ寸断を許しません。

本の形で生まれたらまた次の行程が始まります。続き。        編集室 柴崎俊子

「地球のともだち」を編集して

アザラシのあかちゃんのへその緒の血のついた傷あとに手が止まった 。
写真集の編集作業はそのままドラマづくりの境地に 。
お母さんアザラシのお乳を含ませているときの表情
シロクマが三匹のこぐまをつれて氷原をとぼとぼ歩く夕暮れの風景
手ながざるが赤ちゃんをおんぶして木をとびうつり 安心したポーズで抱っこしてお乳をあげる顔 、その赤ちゃんの顔
象の親子が、群れから離れないように必死で守り守られながら、行進する場面。
動物たちの自然な子育ての世界を思いめぐらせながら、ふと気づくと 私の頭の中は20年前の我が家の一こまが展開していた。
ウェスティの ラッキーが4匹の仔犬を産み、育てているときのけなげな表情 。そこにはかつての母の面影がかさなり 次は、私自身の楽しかっかた育児時代へと思い出は果てしなく続いていく。
命のつながりの原点はこの赤い血のついた「へそのを」なのだ。
地球上の哺乳類の命の源は、はるか昔から続くこの血のついたへその緒。

思い出の編集日記 2022.6.12

思い出の編集日記
思い出すままに   柴崎俊子

まどみちおさん

30年ほど前、教育出版センターの談話室に訪ねてくださいました。
数人の詩人も一緒だったと思います。そのときお掛けになったソファは、その頃 井上靖さんや石垣リンさん山本和夫さんなど福田正夫、詩の会 炎の会の例会会場に提供していた、社内の談話室 レトリカ です。
L字型に続く赤いソファは詩人たちにも気に入られて、その角に主な人がすわるのが常でした。
まど先生もその場所をご案内し、先生は背もたれにゆったりされました。
私は嬉しくて、
「その場所は先週、井上靖さんが同じように座られました。」
と、お声かけしました。寡黙な先生は、気持ちよさそうに口を開かれました。

ぼくね、考えたんだよ。
このスペース このソファのこの面積 今この時は ぼくの専用として与えられてるんだ。今、来る時も電車に座って
「あゝ この席は 自分が独り占めしてるんだなぁ。地球は広いといえども、このスペースはここしかない。それを独り占め。ありがたいこと 感謝 しかないと。」
先生のお顔は 感謝にあふれた柔らか表情でした。
私は、なにげないおもてなしにこうして、おはなしを膨らませていただいて、さすが!
と、思い出の宝として心に刻まれたのでした。

自粛のときの思いがけない産物

日々静かに足元を見つめる時間が多いこの頃、ふと気づくと、デスクの上は自分史の原稿が、、、。

一年がかりでついに刷了紙をまえにして感無量。

著者は90歳。30年間、40数回のヨーロッパ旅行記。3冊目はすべての旅行をダイジェスト的に収載したい、おまかせしますとのご依頼でスタートした編集作業。丁寧な旅日記はどれも臨場感満載で、削除する難しさとの格闘でした。

もう一冊、編集を終えて同時に印刷待ち。やはり80代という。どちらも女性。

しつかりしたご指示で、お二人とも電話の声だけの接触ですが、その確かさが伝わってきました。

ハルピンからの引き揚げの思い出、人生の歩みの中で受けた、周りの人々への感謝、旧仮名混在の文章を整えながら、一番最初の読者として著者の息づかいをたどりました。

感じたことは命の重さ、尊さ、美しさ。

自伝 とは。

こし方をありのままたどり、己が反芻し、これからの人に伝え遺す。

遺産としての世界で一冊だけの神聖なミッション。

身をひきしめながら開く次なる原稿は、ドイツと日本の架け橋として受賞された実業家の、思い出の交友録。現役の著者は、ご多忙な生活で返事をいただくのも忘れた頃。焦らず、心合わせて伴走せねば。

あっ、昨日の電話は写真集をと。

人それぞれ、走り続けた中でのひと休み。その思いがけない名作の産物です。

本という著者の分身のお産に携わる産婆役は、今日も元気です。

おかげさまです。

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