編集室日記
早水瑞枝『布ぞうがん』感じる絵本
『魅せられて』
いよいよ旅立ち準備
鎌倉駅からほど近い妙本寺。境内の奥に万葉集を今に伝える大業をなしとげた仙覚律師の石碑があります。
先般『源氏物語と鎌倉』の上梓にあたり この妙本寺についても写本のくだりで記述があり、著者の織田百合子さんとご挨拶に伺ったとき 貫主夫人のすばらしい作品に出会ったのでした。
さりげなく壁にかかった額装 一目で釘づけになりました。ふしぎな幻想の世界が引き寄せるのです。
近づいてみると 独特の技法で表現されて 私の大好きな布の魅力も息づいています。
「これは 実は私が造りました。表装と象眼の技法を応用したものです。造っている時は楽しくて夢中です」と・・・。
伝統文化を取り込みながら新しい眼でつくりあげる作品群に触れて このまばゆいほどの新境地にすっかり心奪われました。
この女性のスカートの部分はインドの端ぎれ これは主人の袴のきれ端・・・と 愛おしそうに説明されるまなざしは 美の世界にとりこになった純な姿そのものです。
古今東西の蓄積された文化をこのようにさりげなく掬いとって 私たちに感動とともに差し出してくれる新しい分野の芸術を 私以外の人や子どもたちにも伝えたいと出版のお願いをして実現しました。