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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

『すずめの木笛』○西野真由美の社長ブログ

渡邊るり子さんの2作目『すずめの木笛』ができました。
初恋とは気づかないほどの淡い恋。
第2次世界大戦の終戦前後を舞台とした、昭和の「たけくらべ」ともいえる、ほのかな恋のものがたりです。
山中冬児先生の描く、恥じらいのある少女の表紙も印象的です。
自然を相手に遊ぶ日々。
川原の土手近くにある大きな椎の木。
その枝打ちされていくつもできた大きなこぶと、川原の砂をつかう精米所ごっこ。
食事係の兵隊さんがわけてくれた、特大黒いにぎりめし。
兵隊さんは、主人公ふみ子や由純(よしずみ)と同い年くらいの子どもを故郷へのこしてきているという。
終戦前後の子どもの世界。
初めて異性を意識し始める芽生えの季節が、戦争による食糧難や豊かな自然、
村のお祭りを通して、静かに描出された作品。
初版からわずか1年で重版となった処女作『友ちゃんと砂糖、そして・・・』同様、著者の実体験に基づく本書は、いぶし銀の真実がしっかり詰まった一冊です。
西野真由美

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