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銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

藤本美智子詩集『心のふうせん』○西野真由美

藤本美智子詩集『心のふうせん』(ジュニアポエムNO.231)のご紹介です。
前詩集『緑のふんすい』(ジュニアポエムNO.206)の伸びやかな世界はそのままに、今度は簡潔で軽やかな短詩のロンドではじまる楽しい詩集です。
  つゆ
月のしずく 朝には葉っぱの上
  くもったガラス
見えなくていいこともあるか
  おちばの道を
ごめんね ごめんね ごめんね
ウイットに富んだ、キュッと引き締まったポエムたちです。
後半の詩でも、藤本さんらしい好奇心に満ちた、あたたかな眼差しにあふれたポエムが続きます。
そして、あとがきにかえて収載された一連の「風(ふう)さん」の詩は4編。
「やっぱりいない」から「にじ」までの4編には、飼犬を通して、あるいは飼犬と一緒に、逝ってしまった家族を偲ぶ作者の、懸命に踏ん張って堪えている姿が彷彿として迫ります。
核家族化が進んだ現代では、本物の死、身内の死を体験することが、大人でさえ少なくなっています。
あとがきにかえて収載された4編を通して、死が突きつける喪失感と、生が教えてくれる希望とを感じていただけたらと願います。
西野真由美

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