skip to Main Content

銀の鈴社は、〈花や動物、子供たちがすくすく育つこと〉を願って活動しています

絵巻万葉ものがたり 今秋発表

万葉集の4500余の中から、先人の評価と私の感性のもの差しで1000ほど選び、さらにテーマを 分類して万葉の世界が表現できるように100首に絞り、全四巻上下、8軸の蒔絵に仕立てました。

流れるような絵を追いながら、私たちのはるかな先祖の世界を、歌を手がかりに散策できる趣向です。

Z世代の活躍する今、その真逆の暮らしぶりがどこまで感じとれるか、だからこそあえて提示したいのです。

例えば、「早送りで映画鑑賞」の反対側にある、万葉集の「夕影草の歌」

わが屋戸の夕影草の白露の消ぬがにもとな思ほゆるかも   笠女郎 巻4-594

わが家の庭の夕影草に光る白露のように、心も消えてしまいそうにあなたのことを想っています。

日暮れも待ち遠しく彼が来るのを軒先でひたすら待つ女性の姿。やがて日が沈み、庭の草花は夕闇の中にシルエットになって、白露が消えるまで見届けて待つひたむきな心。想像してみてください。その時間のなんと愛に満ち溢れた豊かな世界。 人の心の感情のヒダは、いまも昔も変わらないと思うのです。その心のヒダは、日本人の特性と思うのです。

私はこの心のヒダにこだわります。人生の潤滑油と思います。

注) 襞(ひだ)」は、衣服(の布地)や紙などを折りたたんで付けた折り目のことで、通常は一つではなく、幾つも折り目を重ねて作ります。女性のスカートで、立体感を出すために襞を入れたものを「プリーツスカート」といいます。このように布地を加工すると、外から見えている部分と隠れて見えない部分が出てきます。これを人の心にたとえて、見えている=他人に分かっている性格や考え方だけからは生まれてこないような複雑な心の動き、隠れた思いが作る感情のニュアンスといったものを「心理のひだ」といいます。

Back To Top